白内障はありふれた疾患ですが、見え方が悪くなったら手術以外の治療はありません。当院では、1989年(平成元年)より白内障日帰り手術を行ってまいりました。実績と豊富な経験でこれからも質の高い手術を提供します。
図にあるように、瞳の奥にピントを合わせるための水晶体というレンズがあります。レンズですので光がよく通るように透明になっていますが、この水晶体を作っているタンパク質に変化が起こり、濁ったり色がついたりすると、光がうまく通らなくなります。これが白内障です。
水晶体の変化にはいろいろな種類がありますが、大きく分けて「濁るもの」と「構造が歪むもの」があります。
最も一般的で分かりやすいのは、透明な
あと一つ、最近増えているのは、水晶体の構造の変化です。水晶体は簡単に言うとタマネギのような構造をしていて、周りの細胞が中心に向けて増えていきます。そのため、年齢が進むと水晶体の中心に核という硬い部分ができてきます。これが妙にしっかりとできるとレンズの中にもう一つレンズができたようになり、構造的(光学的)な歪みを作り、乱視が強くなったり、近視の度が進んだりして、ピントが合わなくなってきます。
白内障は昔からありふれた疾患で、最近になって増えてきた病気ではありません。統計によると、80歳になると100%の方にみられるとのことで、誰も逃れることはできません。ただ、濁り方がイロイロで個人差がありますので、80歳になったら皆手術が必要なわけではありません。
最近、手術が洗練されて安全にできるようになったので、昔より早めに手術を受ける方が増えました。そのため、周囲にも白内障手術を受けた方が多いと思いますが、決して白内障そのものが増えたわけではありません。
上でも説明致しましたように、白内障の形によって症状が違います。
水晶体に濁りが出て、それが中心にかかったら、見え方がかすみ、何か一枚幕を通して見ているような感じになり、視力が落ちます。まだ濁りが中心までかからなくても、瞳にかかってくるとまぶしさが増します。光の来る方を見るとパーッと白っぽくまぶしく感じます。
核が硬くできあがってくると、近視や乱視の度が進み、ピントがよく合わなくなってきます。ダブって見えたり、細かな形がわかりにくくなってきたりします。
いずれの症状もゆっくりと進みますので、ある日急に見辛くなったりはしません。突然の視力低下は別の原因を考えた方が良いので、急ぎ眼科を受診してください。
白内障は
進行してしまったら、その濁りや核を取り去るしか方法がありません。つまり、手術です。今の白内障手術は、水晶体の中の濁りや核を除去して、代用となる合成樹脂でできた眼内レンズを移植するというものです。元々水晶体のあるところに、代用レンズが入りますので、自然な見え方が得られます。
目に他の病気がなければ、手術を受けるとよく見えるようになります。ただ、眼球には元々持っている近視や遠視や乱視と言った歪みがあります。これを手術で完全に治すことはできません。できるだけ快適に見ることができるように、中に入れるレンズを調整するのですが、あくまで代用品です。若い頃に戻れるような、そんな夢のようなレンズは今のところないのが実状です。
緑内障は自覚症状のない疾患の代表で、知らずにいると失明に至る大変な疾患です。従って、慎重な診断と治療の継続が必要です。日本では40歳以上の約5%の方が罹患していることが分かりました。診断がついたら、治療は眼圧上昇を抑える事が第一となります。当院では最適な薬物療法で眼圧上昇を抑制します。
ごく簡単に言えば、視神経が傷むため、視野に異常が出る病気です。
この疾患をご理解頂くことは非常に難しいのですが、できるだけ分かりやすく書いてみます。
まず、目で見る仕組みからお話ししましょう。遠回りな感じがしますが、ここをご理解頂けないと、病気の話に進めません。
図にありますように、瞳から目に入った光の情報は眼底にある網膜というフィルム、というよりもビデオカメラの撮像素子といった方がわかりやすいかもしれませんが、その網膜にぎっしり並んでいる視細胞で感じ取ります。それぞれの細胞が光を感じると、どんな光が来ているかという情報を神経信号に変えて、それぞれの場所から糸のような細い神経が眼底中央にある
さて、この視界全体を視野というのですが、緑内障では何が起こるのでしょうか。
この眼底全体にちりばめられた沢山の網膜の細胞から伸びている細い神経が、部分的にだんだん減ってしまい、そのために減った部分の感じ方(見え方)が悪くなる、というのが緑内障なのです。つまり、視野の中に見えにくい部分が生じる疾患なのです。
さて、ここからが大切なのですが、神経はいったん減るともう増えることはありません。つまり、ある部分の見え方が悪くなったら、それを戻すことはできない、つまり、一度視野障害が出たらもう治せない、ということになり、この点が最も恐ろしいところです。
もう一つ恐ろしい点があります。それは、ゆっくりゆっくりですが進行していくという点です。何かきっかけがない限り、急に進行することはないのですが、確実に進行していき、超慢性疾患と言われています。
上に書きましたように、眼底中にちりばめられた沢山の細胞から視神経乳頭に向かって細い糸のような神経、これを
原因のよく分からない緑内障、これを
2000年に、日本のある地区で、学問的に適切な方法で選ばれた住民に対して、検診を行うという研究の結果、40歳以上の住民のほぼ5%に緑内障があることが明らかにされました。詳しく見ると、40歳代では2%位ですが、70歳代になると10%になり、年齢が上がるにつれて緑内障が増えることが分かりました。
この結果から考えると、少子高齢化社会の現在ですから、中高年が増えれば当然緑内障患者も増えるということになります。
一方で、緑内障というのは見つけ出すことが難しい疾患です。でも、眼科の世界は日進月歩で、診断機器の進歩が著しく、以前では診断できなかった患者さんも見つけることができるようになってきました。つまり、見つかる患者さんが増えているということになります。
上記双方の理由で、緑内障の患者さんは増えているといわざるを得ません。
緑内障は、真の原因を含め、分からないことの多い疾患ですが、なりやすい方、注意を要する方はいらっしゃいます。
眼球の張り、即ち眼圧が高い方は、視神経に負担が掛かりますので要注意。
近視の強い方は、緑内障になりやすい。
家族に、特に兄弟に緑内障の方がいる場合は、要注意。
などが知られています。
症状がないことが、この疾患の最も困った特徴です。
視野の中心が保たれて、そこから外れた周りの部分が見えにくくなっても、なかなか自分では気付けない、つまり自覚症状は出にくいということになります。もし、緑内障で、視野に異常を感じることができるようになったら、かなり進行した状況ということになります。
軽症なうちは自覚症状がないと思ってください。
上で書きましたように、目の中には水が貯まっていて、そのおかげで目の形が保たれ、張り(眼圧)が決められます。この眼圧と緑内障に深い関係があることが分かっています。以前より、眼圧が高い方は緑内障になりやすいことが知られています。ただ、先に述べたある地区の疫学調査では、開放隅角の緑内障のうち、90%以上が正常眼圧だったことが示されました。そうなると眼圧だけ測ったのでは緑内障を見つけることができないことになります。その一方で、眼圧が高い方でも、眼圧が正常な方でも、その方の眼圧を下げることで緑内障の進行が抑えられることが分かりました。
つまり、眼圧を下げることが唯一の治療となり、それには、薬で下げる方法と手術で下げる方法があります。一般には、できるだけ薬で眼圧を下げて視野の維持を図り、どうしても視野障害が進行する場合には手術によって眼圧を下げることを行います。
これは、治療を行いながら経過を見て行かないと分かりません。
治療を行いながら、定期的に検査をして緑内障の進行の程度を判断し、現行の治療が適切かどうかを評価しながら、治療を継続していくことになります。従いまして、頻繁な通院は不要ですが、通院を止めることはできないという点が、最も大変なところです。
上に書きましたように、治療は眼圧を下げることです。眼圧はよくすることができても、視神経を増やすことはできません。即ち、視野の障害は改善しない、最高にうまくいって現状維持です。
手術も眼圧を下げるための一方法です。手術をしたらよく見えるようになるという、白内障手術のようなことはありません。最高にうまくいって現状維持であることは手術療法でも同じであることをご理解ください。
糖尿病網膜症は、自覚症状の出にくい疾患で、知らない間に進行し、失明する危険のある疾患です。従って、糖尿病と診断されたら、定期的な眼科検査が必須です。治療の第一は血糖コントロールで、当院では血糖および血圧のコントロールを中心に内科主治医と連携して治療を行います。
糖尿病になると目が悪くなることがある、ということは広く知られるようになりました。その原因の多くが糖尿病網膜症なのです。実際、平成の中頃まで、糖尿病網膜症が中途失明原因の第一位だったのです。
まず、網膜という言葉を知って頂きたいと思います。眼は、よくカメラに例えられますが、カメラで言えばフィルム/映像素子(イメージセンサー)にあたる役目を担っており、外の景色を写し撮る基本的な部分です。フィルムと同じように薄い膜状の組織なのですが、殆どが神経組織、つまり脳と同じような働き方をしています。ということは、しっかりと働くためには沢山の栄養と酸素が必要なわけで、それをうまく送るために細かな血管が網の目のように走っています。だから網膜というのです。
一方、糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度が高くなる疾患です。それによる合併症がイロイロと起こる可能性があるのですが、その多くは血液が直接触れている血管に異常が起こって生じる疾患です。でも、ヒトの体は丈夫ですから、チョット血糖が高くなったからってすぐに傷むことはありません。ただ、悲しいことに、血糖が高くなっても自分では全く気付くことができません。従って、知らない間に、すごく長い期間、血糖が高かったということが実際にはよくあるのです。こうして、長期間高濃度ブドウ糖の血液にさらされますと、細い血管の壁はその内側(内皮)が傷んで壊れてきます。これを細小血管症と呼びます。とりわけ、こうした細い血管が沢山あって、重要な役割を演じている組織に重い合併症が起こる可能性が高く、その代表が、眼の糖尿病網膜症、腎臓の糖尿病腎症、神経の糖尿病神経障害なのです。
血糖が高い状態が起こって、約10年すると血管に異常が生じ始めます。でも、初めのうちは、網膜や腎臓という臓器の働きには影響しない程度のものですので、自覚症状が全くありません。これが最も恐ろしい点です。つまり、知らない間にドンドン進行してしまう可能性が高いということです。そして、末期に近くなって、いきなり視力低下や視野欠損といった自覚症状が出ることになります。だから、今でも中途失明の主要原因なのです。
血管が傷むのは、血糖の高さとその期間の累積効果で進みます。血糖が高い状態が続きますと比較的短い期間で進行しますし、良好な血糖コントロールを維持されていても長期間経ちますとやはり網膜症が出現するのです。
決して安心してはいけません。「異常なし」というのは、眼底検査で目に見える所見がないというだけのことなのです。高血糖状態が10年くらい続くと細い血管の壁が傷んで、血管にこぶ(毛細血管瘤)ができたり、小さな出血(網膜出血)が起こったりします。すると、眼底検査や眼底写真で、眼底に赤い点として目視できるようになり、これが網膜症のスタートになります。でも、上にも書きましたように、ここに至るまでに高血糖の助走期間があり、どの位経ったらこれらの所見が出るのかは予測できません。
眼底検査はあくまでその時点での状態が分かるだけです。例え「異常なし」といわれても、明日にでも出血が起こるかも知れません。したがって、血糖が高くなったら、定期的な眼科検査が必要である、というわけです。
「糖尿病眼手帳」は日本糖尿病眼学会が作成した小冊子です。ここには糖尿病網膜症の解説と、受診経過を書く欄があります。上に記しましたように、糖尿病の診断を受けたら、定期眼底検査は必須なのですが、その経過や検査間隔は個人個人で全く異なります。そこで、受診毎のデータを小さなノートに記載して、それまでの眼の経過を俯瞰できるようにしたのがこの「糖尿病眼手帳」なのです。
この手帳をわざわざ作る意味は、患者さん自身にご自分の眼の状態を理解して頂きたいということと、内科の主治医に眼の現状を知って頂きたいということがあります。従いまして、どうか眼科や内科を受診する際には、この手帳を持参して主治医に見せてください。
糖尿病網膜症は必ず段階を踏んで進行していきます。血糖が高くても眼底に目に見える所見のない「網膜症なし」の状態から、細い血管の壁が傷んで出血が起こる「単純網膜症」、その細い血管が詰まって白い斑点やむくみが出る「増殖前網膜症」、血管の詰まりが広い範囲で起こり血のめぐりが悪くなることで本来無い血管(新生血管)が生じる「増殖網膜症」と進行していきます。
このうち、出血があったり白い斑点が出たりしても、多くの場合は視力も良く、全く症状がありません。でもそこで放置されていますと、最終ステージの増殖網膜症へと進んでしまいます。増殖網膜症に見られる新生血管は、非常にもろくて、すぐ破裂してしまうので、しばしば大出血を起こします。こうなって初めて眼の症状に気づくことがよくあるのです。ここまで来ると治療が大変です。時間的にも経済的にも大変なロスを負うことになります。従って、何としても増殖網膜症にならないようにしなくてはなりませんし、そのためには定期的な通院検査が必要になるのです。
治療は大きく分けて内科的治療と外科的治療に分けられ、上に書きました網膜症の段階によって異なります。ただ、糖尿病網膜症は一度起こった組織の変化は元に戻ることはありません。あくまで、その先に進ませないようにするのが、治療ということになります。
内科的治療は、主に血糖のコントロールです。血糖が高いために進行する疾患ですので、血糖を良好にコントロールするため、食事と運動、必要なら薬剤を使って良い状態を保つことが大切です。以前は、血糖の値ばかりに注目しておりましたが、最近になって、網膜症の進行に血圧も大きく関わっていることが分かってきて、内科での全身的なコントロールが大切であることが強調されています。さらに、出血や循環の悪さが目立ってくると、眼科でも血管強化剤や循環改善剤の処方が行われることになります。
外科的治療は、進行してくると必要になります。網膜の血液循環がわるくなって増殖前網膜症になりますと、具合の悪いところにレーザー光線を当てる網膜光凝固術という治療が行われます。また、増殖網膜症になり、規模の大きな出血(硝子体出血)や新たにできた増殖組織による網膜剥離が起こると、眼球の中に機械を刺し入れて操作する硝子体手術が必要になります。
さらに、最近増えているのが、黄斑浮腫(糖尿病黄斑症)に対する治療です。以前は有効な手段がなく、一度起こると大変でしたが、近年抗VEGF薬が開発されて積極的な治療ができるようになりました。ただ、眼球内に注射するので手術並みの注意が必要になります。
糖尿病網膜症は網膜の疾患ですから、悪くなると、網膜の性能が落ちることになりますので、見え方が悪くなるのです。問題は、眼の一番奥のフィルムが傷んでしまうので、いくらメガネを変えてもすっきりと見えるようにはならないという点です。私たちは、網膜の中心の黄斑という感度の高い部分で、文字を読んだり、細かな仕事をしたり、色を感じたりしています。この黄斑という小さな部分さえ温存できれば、困らないのですが、ここに病気が及びますとぐっと視力が悪くなったり、ものが歪んで見える変視症が起こったりします。
最悪の場合、失明ということになるのですが、周りの見え方は問題が無くても、黄斑の障害によって視力が大きく低下し、生活に不自由が生じる社会的失明、という状態から、完全に光を失ってしまう失明まで、その方の病状によって幅があります。少しでも、視覚を温存すべく様々な治療が研究開発されているのです。
当院では、内科的治療と網膜光凝固術までは行っております。硝子体手術や抗VEGF薬の眼内注射は行っておりません。
治療の基礎になるのは、その時の全身状態および網膜症の状況を正しく把握することです。定期検査の1回1回が重要となりますので、これまでの全経験をかけて診療に当たらせて頂いております。
血糖や血圧といった全身状態の改善と安定化が最も重要です。どの位の数値が良いのかについては個人差が大きいので、一概には言えず、内科主治医の指示に従って頂く必要があります。また、網膜症が進行してきますと生活上の注意が必要になる場合があります。ケースバイケースですので、必要に応じてお話しさせて頂きます。
食事や運動について、一つ申し上げておきたいことがあります。網膜症が分かった時点で、突然厳格な食事制限をしたり、激しい運動を負荷されたりする方がままいらっしゃいます。糖尿病のコントロールでは、「急」のつくやり方は良くない場合が多いのです。継続できる方法をそろりと始めて、結果を見ながら継続する、これが肝要とお考え頂きたく思います。
ぶどう膜とは、瞳の周りの茶目の部分、すなわち虹彩から奥につながっている一連の膜状組織の名称ですが、ここに炎症が起こると視機能に大きな影響が出ます。濁りが出て視力が落ちたり、白目がピンクに充血して痛みが出たりしますが、適切な時期の充分な治療が必須な疾患です。
眼球の壁は、強角膜、ぶどう膜、網膜の三つの膜で形作られています。強角膜と網膜に挟まれた間の膜は、外から見えませんが、ぶどうの色をしていて、形も果物のぶどうによく似ているのでぶどう膜といわれています。ぶどう膜は瞳孔を作る虹彩、水晶体を調節しピント合わせをする毛様体、血管が豊富で栄養を運ぶ役目をする脈絡膜の三つの膜から成り立っています。これらの組織に起きる炎症がぶどう膜炎です。
重症化すると失明する原因にもなる恐ろしい病気です。虹彩、毛様体、脈絡膜は目を構成する上で重要な組織であり、どれかが機能しなくなると視覚障害になる可能性があります。
自覚症状は、充血、霧視(かすみ目)、視力低下、痛みなどです。
ぶどう膜炎には、全身疾患に伴うもの(ベーチェット病、サルコイドーシス、結核、リウマチ、その他膠原病に伴うもの、ウィルス性のもの、癌に伴うものなど)と、原因不明のものがあります。眼科医はぶどう膜炎の患者さんを診たときにはまず、原因検索をします。しかしながら原因不明のものが半数以上あります。
基本的には炎症を抑えるために、ステロイド剤の点眼と、虹彩の動きをおさえるために散瞳剤の点眼をします。
それに加えて原因疾患に応じた治療方法として、ステロイド剤の内服や点滴、免疫抑制剤の内服や点滴、生物学的製剤などがあります。
また、ぶどう膜炎の合併症として眼圧上昇が起きることがありますがその場合は眼圧を下げる治療もしますし、炎症により眼内の濁りがとれない場合は、網膜硝子体手術や白内障の手術をすることもあります。
眼球内に炎症がおきているので、基本的には安静が必要です。たとえばスポーツ、飲酒などは控えていただきたいです。
飛蚊症、アレルギー性結膜炎、眼精疲労、ものもらい、ドライアイなど様々な目のトラブルに対応致します。目はとても大切な器官です。違和感を感じる事がありましたらお気軽にご相談下さい。
近年はコンタクトレンズでのトラブルが増えております。またスマホやパソコンを扱う事が増え、見え難いと訴えて来院される方が多く、メガネの需要も年々増しております。
当院では患者さんのライフワークに合わせた処方を心がけております。
メガネをかけたくない、コンタクトレンズだけでダメなのかという質問をよくされます。メガネは何故必要かと申しますと、正しく見ることの基本だからです。
現代は情報社会です。その情報を得るために,我々は視覚に大きく頼っています。正しく情報を得るためには、ピントが合った視覚が必要であり、そのためにはメガネが基本だからです。
コンタクトレンズでも良いのですが、いろいろな理由でコンタクトレンズを入れることのできない状況があります。メガネはそのバックアップのために必要なのです。
さらに、災害時に重要なアイテムとなりうるからです。平時は気になる事は無いのですが大きな災害時には電気、水道、ガス、携帯電話などインフラは壊滅的なダメージをうけます。復旧するまで数日は要しますよね。日用品もまともに手に入りません。コンタクトレンズの予備や保存液などが足りないなど先の東日本大震災では問題になりました。情報なども掲示板に掲載される紙です。このような時、生きるための情報はアナログなものに変わってしまいます。見えるか見えないかというのは死活問題になりかねませんので、常日頃から体の一部として考える事が大切です。
コンタクトレンズは高度医療機器です。つまり、非常にデリケートで神経を使う医療機器なのです。何故かと申しますとコンタクトレンズは直接角膜という部位に載せて装着するからです。
角膜は透明な組織なのですが、コンタクトレンズの乱用で角膜に傷がつく事が多々あり、傷が修復する際に細胞構造が崩れる場合があります。そうすると崩れた部分は透明にならず白く濁ってしまいます。白く濁った角膜は元に戻る事はありませんので、濁る場所が視界の中心だと視力障害になってしまいます。食品用のラップフィルムをグチャグチャにしたら白い部分が残りますよね。あれと似たような状態です。ですからコンタクトレンズは絶対に使い方を厳守してください。目に異物感があったりアレルギー症状などが出ている時は絶対に使ってはいけません。
若い時に目が良かった方が嫌がる傾向が強く、中でも女性に抵抗を示す方が多いのが実情です。メガネに対するネガティブなイメージをお持ちだからだと思います。また「老眼鏡」というネーミングも抵抗を示す要因です。この言葉は日本にしかなく、英語ではReading glassesと言い積極的に見るためのものという位置づけです。近年はメガネ女子に代表されるようにメガネをかける女性に魅力を感じる男性も少なくありません。メガネ自体がオシャレになったのと、人それぞれに合う商品が開発されたという理由があるのかと思います。女優さんがいつもと違う自分を表現したいという事でメガネをかける事もあるそうです。メガネは知的に見えたり、外す姿がエレガントに見えたりと扱い方でポイントの高いアイテムにもなりえます。
メガネは災害時には必需品ですし、美的な要素もプラスに作用させる事ができます。コンタクトレンズとうまく併用するのも良いでしょう。常に肌見放さず、目の健康と非常時に備えて頂ければと思います。
視力が出ない子どもがメガネをかける事は非常に重要です。何故かと言いますと子どもの視力は発達期にあり、ピントが合った情報を脳に伝える必要があるからです。脳に伝える、脳で処理するという能力は成長と共に退化します。ですからこの時期にピントの合った情報を脳に伝え脳で処理させる事はとても大切なのです。大人の価値観でメガネをかけさせたら可愛そうとか、病院に行くのを途中で止めるなどはあってはならない事と理解して下さい。